シソ科シキクンソウ属

ヤエヤマスズコウジュ

Suzukia luchuensis Kudo

ヤエヤマスズコウジュ
沖縄県与那国島 2004. 3. 21

久しぶりに訪れた春の与那国島は,見慣れない植物たちとの新鮮な出会いで 溢れていた。特に印象的だったのが,このヤエヤマスズコウジュ。 最初に遭遇したのがゴミ捨て場だったので,「ああ,また訳の分からん外来種が 茂っているな」程度にしか思わなかった。だが,よくよく見るとなかなか 味わい深い草姿をしているではないか。

茎を長く伸ばして地表を這いまわるところなどはカキドオシに 似ていたが,花はほのかな紅色。肉厚で光沢が強く,それでいて毛深い 葉も独特だった。気になって手持ちの図鑑を繰ってみた のだが,マイナーらしく該当種は見つからず。 帰ってから琉球植物誌などの文献のシソ科の項を 片っ端から読み潰し,ようやく正体が分かった時の感動は,なかなかの ものだった。

世界でも沖縄地方にしか知られていない貴重な種類で,個体数は 近年減少傾向にある。沖縄県のレッドリストによると,本島では 最近確認されておらず,久米島と黒島では現状不明,伊計島でも 1ヶ所に少数個体が残るに過ぎない。まとまった数の個体を 確実に観察できるのは,今では与那国島のみだ。

なお,台湾にはこの属を構成するもうひとつの種・シキクンソウが 分布する。最も大きな違いは,花冠の下唇の中央裂片の形。 ヤエヤマスズコウジュでは不規則に浅く切れ込むのに対し, シクキンソウでは中央にひとつだけ 大きな切れ込みがある。

【生育地】 海岸近くの原野
【生活史】 多年草
【分布】 沖縄本島・伊計島・久米島・黒島・与那国島固有
【花期】 3〜4月
【備考】 国のRDBで絶滅危惧U類