イネ科ツキイゲ属

ツキイゲ

Spinifex littoreus (Burm.f.) Merr.

ツキイゲ
鹿児島県大島郡和泊町 2008. 6. 27

ツキイゲ
鹿児島県大島郡和泊町 2008. 6. 27

長い針で覆われた果実の集団が大変印象的だ。差し渡しは30cm近くもあり,威圧感ばっちり。 葉も硬くて先端が刺になっており,英名のspine grassの通りまさに「刺の草」である。

一見するとイネ科植物らしからぬ果序だが,構造は他の種とあまり変わらない。 針のひとつひとつはメヒシバなどの穂の枝の1本1本に相当し,雄株ではその途中に,雌株では根元に小さな花がつく。 写真でも,針玉の中央に若い果実が丸くかたまっている様子が分かる。 果序は熟すと茎から分離し,ガンガゼのような姿のまま浜辺を転がって 種子をまき散らすという。吹きさらしの海岸で普通に種子を飛ばすと,海や内陸など,生育に適さない遠隔地に 落ちることが多そうなので,こうした戦略は利にかなっているように思う。

なお,植物体を刺で覆うのは,草食動物に対する防御としては基本ともいえる戦術である。 ツキイゲは,それを最も極めた植物のひとつだといえるだろう。 単に刺を鋭く長くするだけでなく,繁殖の手段として昇華している点が素晴らしい。 ところが,そこまでしても敵わない相手が実は存在する。ノヤギである。 悪食で知られる彼らに対抗するには,物理的手段よりも化学的手段の方が有効なのかもしれない。 たとえばコハマジンチョウのように。

【生育地】 海岸の砂地 
【生活史】 多年草 
【分布】 南西諸島(屋久島・種子島以南); 中国南部,マレーシア,インドなど 
【花期】 6〜7月
【備考】 本種のように雄株と雌株が存在するイネ科植物は大変珍しい。