クマツヅラ科シチヘンゲ属

シチヘンゲ

Lantana camara L. var. aculeata (L.) Moldenke

シチヘンゲ
東京都小笠原村 2009. 6. 2

花の色には淡黄→赤紫と黄→赤の2つのタイプがあるが,中間型も存在する
東京都小笠原村 2009. 6. 3

咲いている途中で花の色が変化することで有名な植物である。

咲き始めは淡黄色ないし山吹色の花が,時間の経過とともに赤味を増し, 最終的には紅紫色ないし朱色になる。 変色にともなって蜜の生産は止まり,柱頭に花粉がついても受精しなくなるが, それで完全に役目を終えたわけではない。 シチヘンゲの主な送粉者は,長い口吻で花筒の奥に隠された蜜を利用できるチョウやガの類だが, 変色後の花は,彼らに花序の存在を知らせるためのディスプレイとしての 機能をもつと考えられている。

このように,花生態学の観点からみて興味深い性質をもつシチヘンゲだが, IUCNの「世界の侵略的外来種ワースト100」の一角を担うという,意外な 側面をもっている。 茎の刺のせいで駆除には手間がかかるうえ,果実が鳥類に散布されてどんどん 拡がっていくため,厄介きわまりない。 熱帯の植物ゆえ暖地ほど勢いが強く,小笠原諸島では 各地で背丈を超える濃密なヤブを作って繁茂している。 兄島の滝之浦の群落は特に大規模であり,初めて訪れたときは童話の世界に紛れ込んだ気分になった。

【生育地】 低地〜山地の路傍,荒れ地,林縁など
【分布】 熱帯アメリカ原産
【生活史】 常緑低木
【花期】 ほぼ周年
【参考文献】 Weiss MR (1991) Floral colour changes as cues for pollinators. Nature 354, 227-229.