アカネ科フタバムグラ属

シマザクラ

Hedyotis leptopetala A.Gray

シマザクラ
東京都小笠原村 2009. 10. 20

シマザクラ
東京都小笠原村 2009. 10. 20

小笠原諸島には,他の地域を探しても類似の種が見つからない固有植物が幾つか知られている。 彼らは,海洋島であるこの地のフロラの特殊性を体現する存在であるが,個体数が少ない, 僻地にしか生えていないなどの理由で,滅多にお目にかかれないものが多い。 しかし,なかには例外もある。そのひとつが,シマザクラだ。

世界でも珍しい木本性のフタバムグラ属であり,植物体の特徴は,同じく小笠原固有のマルバシマザクラと共通する点が多い。 しかし,本種はより多様な環境に進出しており,風衝地の岩場から日当たりの良い林縁,時には湿った林内でも見られる。 個体数もかなり多く,父島,母島,および主な周辺属島のすべてに自生する。おまけに, ボリュームのある桜色の花をたくさん咲かせるので,開花期にはかなり目立つ。 「島桜」とはよく言ったものだ。始めて島を訪れた人でも,じっくりと観察できるだろう。

生育環境や島によって形態の変異が大きいが,葉柄がはっきりしているという特徴は安定しているので, そこに注目すればマルバシマザクラとの識別は容易である。また,フェノロジーもずれており,本種の方が遅れて開花する。 両者の間で送粉が生じることはまずなさそうな印象である。

【生育地】 日当たりの良い林内,林縁,草地など
【生活史】 小低木
【分布】 父島列島,母島列島; 日本固有
【花期】 7〜10月