アカネ科クチナシ属

オガサワラクチナシ

Gardenia boninensis (Nakai) Tuyama

オガサワラクチナシ
東京都小笠原村 2009. 6. 11

小笠原諸島固有のクチナシの仲間。現地の在来樹木の中では数少ない,一般受けしそうな花を咲かせる種類だといえる。 ただし,乾性低木林のブッシュの中に半ば埋まるように生えていることが多く,葉も特徴に乏しいので,花期以外は 至って地味である。

内地や南西諸島などで見られるクチナシとの 最も明瞭な違いは,花筒の構造にある。クチナシでは直径3〜5mm,長さは3cmを超えることが まずないのに対し,本種では直径2〜3mm,長さが3〜5cmと細長い。 花の直径や葉の長さなど,植物体の各部分のサイズはオガサワラクチナシの方が ひとまわり小さい印象がある中で,この点は際だっている。

白い花弁,強い芳香,長い花筒,花の外に突き出た雄しべ・雌しべは,いずれもガ媒花において 頻繁に観察される特徴である。前2つは彼らが夜行性であること,後ろ2つは細長い口吻のみを花筒の 中に差し込んで蜜を吸うという,ガ類の行動様式に対応している。そのため,上記の相違点は, 島に来てから彼らへの依存度が高まったことを表しているのかもしれない。 ところが,私の知る限り,ガ類がオガサワラクチナシの花を頻繁に訪れているという記録はないようだ。

【生育地】 山地の日当たりの良い場所
【生活史】 常緑低木
【分布】 小笠原諸島(父島列島,母島列島); 日本固有
【花期】 1〜6月