ラン科ナリヤラン属

ナリヤラン

Arundina graminifolia (Don) Hochr.

ナリヤラン
沖縄県西表島 2001. 12. 10

南国情緒たっぷりの,華麗な花だ。これは野生化したカトレアです,等と 説明したら,ほとんどの人が納得してしまうだろう。私も最初はてっきりそう思っていた。 だが,本種はれっきとした在来種だ。東南アジアを中心に広く分布し,国内では 西表島と石垣島にのみ知られている。 日当りのよい草原を好むため,林道脇の斜面や 畑の跡地などに多い。しかし,こんな日本離れした雰囲気を持つ 種類をランマニアが放っておく筈がない。 残念ながら,人里近くの株は盗掘によって数が減ってしまった。

和名は,西表島の成屋という炭坑集落にちなんだもの。 周回道路の北端・白浜集落の対岸から見える離れ島に,1920年代初頭まで存在していた。 石炭採掘の過酷さに加え,マラリアが大流行したため,当時の島での生活は きわめて凄惨なものであったらしい。戦後に撲滅宣言が出されるまでに, 数多くの村落がその猛威の前に消えていった。観光客で賑わう明るい雰囲気の西表島だが,その歴史は暗く,重い。 ナリヤランの花を見る度に,そのことを思い出す。

【生育地】 やや湿った陽地
【生活史】 多年草
【分布】 西表島