キク科ショウジョウハグマ属

ムラサキムカシヨモギ

Vernonia cinerea (L.) Less.

ムラサキムカシヨモギ
東京都小笠原村 2008. 6. 4

熱帯地方の風物には,何かと色彩豊かなイメージがつきまとう。

植物の場合,こうした印象の多くは,海岸旅行のパンフレットなどを飾る 園芸植物たちの原色の花からきているのであろう。 実際には目立たない花も多いのだが,路傍の雑草でありながら ショッキングピンクの花を咲かせるムラサキムカシヨモギを見ていると, その先入観もあながち間違いではないのではないか,という気分にさせられる。

和名が示す通り,草姿や生育環境はヒメムカシヨモギやヨモギなどに似ていなくもないが,花の つくりはまったくの別物だ。直径1cm弱の頭花は,すべて星形に切れ込んだ花冠をもつ両性花のみで構成されており, むしろアザミの仲間に似ている。ルーペを通して見る姿は,落ちる寸前の線香花火のようだ。 サイズがもうひと回り大きかったら,間違いなく観賞用に栽培されていただろう。 そして,今よりもあちこちに野生化していたに違いない。

【生育地】 低地〜山地の路傍,林縁など
【生活史】 一年草または多年草
【分布】 九州(南部),南西諸島,小笠原諸島; 東アジア〜太平洋の熱帯地方に広く分布
【花期】 10〜11月,熱帯ではほぼ周年
【備考】 頭花の直径が5〜7mmと標準的な個体よりも小さく,頭花あたりの小花の数が20を切る個体には,コバナムラサキムカシヨモギという 変種名がつけられている。小笠原にはこちらのタイプに近いものが多いらしく,写真の個体も 花がやや貧弱な印象だ。