ツバキ科イジュ属

ムニンヒメツバキ

Schima mertensiana (Sieb. et Zucc.) Koidz.

ムニンヒメツバキ
東京都小笠原村 2008. 6. 12

小笠原村の「村の花」である。ハイビスカスなどの園芸植物をさしおいて指定されただけあって, 花の大きさと花つきの良さは,島の固有樹種の中では他の追随を許さない。

その姿は 昆虫にとっても魅力的にうつるらしく,兄島では,無数のオガサワラコハキリバチの雄が花の周りを飛び交って いる様子を観察できる。彼らは花粉を集めるためにそこにいるのではなく,雌バチがやってくるのを待っているだけなのだが, 他の虫を追い払う際などに頻繁に花に触れるので,図らずも送粉者としての役目を果たしているという。

戦前,小笠原諸島の父島や母島では農業が今よりも盛んであった。 尾根筋などの開発しにくい場所はともかくとして,島のほとんどがサツマイモやサトウキビなどの畑だったという。 現在では,かつての農耕地のほとんどは放棄され,明るい環境を好む樹木で構成される二次林となっている。 ムニンヒメツバキが多く見られるのは,そのような場所だ。生育密度は高く, ほとんど純林に近い状態になっていることも珍しくはない。 山肌のあちこちが本種の花で仄白く染まる頃になると,小笠原に長くて暑い夏がやってくる。

【生育地】 低地〜山地; 耕作放棄地などに成立した二次林に多い 
【生活史】 常緑高木 
【分布】 小笠原諸島; 日本固有
【花期】 主として5〜7月 
【備考】 南西諸島のイジュに近縁である。イジュの葉にははっきりとした鋸歯があるが,ムニンヒメツバキの葉には普通はない。