カヤツリグサ科クロタマガヤツリ属

ヒロハノクロタマガヤツリ

Fuirena umbellata Rottb.

ヒロハノクロタマガヤツリ
沖縄県西表島 大富 2003. 10. 19

カヤツリグサ科の植物は,いろいろな意味で玄人好みである。 まず,花が地味だ。一般人には咲いていることすら 分からなそうな場合も多い。更に,分類の決め手となる 特徴が細かいので,種の識別にはルーペや実体顕微鏡の類が 欠かせない。そのため植物に興味のある人でも敬遠しがち だが,一旦はまると抜けられなくなるらしい。種数の多い スゲ属などは特にファンが多い。

そんな科の中でもとりわけマニアックな属のひとつが クロタマガヤツリ属。黒っぽい小穂が球状に集まった花序を つけることから,そう呼ばれている。世界に150種ほどが分布するが, 大部分は熱帯アメリカ産で,アジアでは少数派。 日本では,他にはクロタマガヤツリしか知られていない。分布域が一部重なるが,本種の方が植物体が頑丈なうえ葉の幅もずっと広いので, 区別は難しくない。

余談だが,写真の株の茎はきれいな五角形をしており,上から見ると葉が五方向に配列していた。 三角形の茎を持つ種類が多いこの科の中では珍しい。 琉球植物誌(沖縄生物教育研究会 1975)には「やや四角」とある。

【生育環境】 湿地
【生活史】 多年草
【分布】 奄美大島,徳之島, 沖永良部,沖縄本島,宮古,石垣,西表,与那国島
【花期】 秋