ハマジンチョウ科ハマジンチョウ属

コハマジンチョウ

Myoporum boninense Koidz.

コハマジンチョウ
東京都小笠原村 2007. 11. 19

草食獣が増えすぎている地域では,彼らの好き嫌いが植物の運命を左右する。

頻繁に食害を受ける植物は当然ながらまともに成長できず,ひどくいじけた姿で細々と暮らさざるをえないか,最悪その地域から姿を消す。 一方,刺や針などの物理的な防御手段,あるいは有毒物質などの化学的な防御手段をもつ種類にとっては,そういった状況はむしろ好都合。 絶滅していった植物たちが使っていた資源を活用できるのだから。

移入されたノヤギが猛威を振るっている小笠原でも,こうした現象が見られる。 父島の南崎周辺は,観光客が立ち入れる場所としてはノヤギの密度が高いらしく, 散策路にはヤギ糞が散乱,すれ違う人間の数よりも横切るヤギの数の方が時として多いほど。 彼らの毎日の食事のため,植被がはげて赤土が露出している場所も多い。ところが,ノヤギに嫌われているコハマジンチョウは, むしろ旺盛に繁茂している。裸地の表面を這い回っている様子は,まるで 法面緑化のために植えられたアイビーのようだ。

瑞々しそうな外観にもかかわらず,あの悪食なヤギが手をつけないということは,相当に不味いのだろう。 南島でも,かつてノヤギの駆除が入る前は島中コハマジンチョウだらけだったらしい。

【生育地】海岸の岩場,裸地など;石灰岩地に多い 
【生活史】常緑低木 
【分布】小笠原諸島(父島南崎,南島,弟島);マリアナ諸島 
【花期】12〜6月 
【備考】日本固有とする解釈もある。

コハマジンチョウ
東京都小笠原村 2007. 11. 19