ゴマノハグサ科ハマゴウ属

ハマゴウ

Vitex rotundifolia L.

ハマゴウ
東京都小笠原村 2007. 7. 9

大陸と一度も陸続きになったことのない海洋島である小笠原諸島には,島に固有の植物が多い。 しかし,本州でお馴染みの顔ぶれがまったくないわけではない。

たとえば,このハマゴウ。東北地方の涼しい海岸でも見かけるような植物ながら, 各島でごく普通に観察できる。さらに,遠く熱帯地方にも分布する。 美しい紫色をした花は様々な昆虫たちのレストランとなっており, 見ていて飽きない。父島・母島などでは野生化したセイヨウミツバチが多いが, 運がよければ,小笠原に固有のハナバチ類に出会うこともできる。

本種の果実は海水によく浮き,かつ海水に長時間浸されていても 種子の発芽には支障をきたさない。おまけに,土壌シードバンクを作る能力までもっている。 分布域がすこぶる広いのは,これらの特性を生かして,海流による種子の分散・定着を効率的におこなってきた ためであろう。また,小笠原で種分化が生じなかったのは,外部からの移入や島間の遺伝子流動 が繰り返し起きていたからだと思われる。

【生育地】 海岸近く;砂浜に多い
【生活史】 落葉小低木(暖地では常緑であるらしい)
【分布】 本州(東北地方まで北上),四国,九州,南西諸島,小笠原諸島;中国,朝鮮,東南アジア,ポリネシア,オーストラリア
【花期】 7〜9月