ヒトヨタケ科ナヨタケ属

ウスベニイタチタケ

Psathyrella bipellis (Quel.) A.H.Smith

ウスベニイタチタケ
埼玉県さいたま市 2006. 4. 30

菌類の和名における色調の表現は,植物など他のいきものに比べると細やかだと思う。 赤や黄などの基本的な原色だけでなく,必要に応じて和色,つまり日本の 伝統的な色名をも駆使している。有名どころをあげると,媚茶(こびちゃ),濃色(こきいろ),鴇色 (ときいろ), 茄子紺,梅鼠(うめねず),などなど。色見本を確認しないとイメージが湧きにくいという欠点はあるものの, 微妙な色彩の違いを手っ取り早く認識できて好ましい。

ただ,コンディションによって色調が大きく左右される種類では,これが思わぬ難儀のもとになることもある。 その典型のひとつがウスベニイタチタケだ。このキノコの傘の表皮は吸水性であり,乾燥した状態では 和名の通りくすんだ淡紅色をしているのだが,湿っているときは透明感のある暗いローズピンクになる。和色でいうと, むしろ小豆色か紅檜皮(べにひはだ)に近い。幼菌ではこの傾向は更に顕著であり,ほとんど黒紫色に近くなる。

上の写真を撮影したのは雨が降った次の日。 おかげで,本種が大発生しているという事前情報を得て現地に出かけた のにもかかわらず,出会った時にとっさに名前が浮かばなかった。

【発生環境】 各種林内・草地・畑地などの腐植の多い肥沃な地上,公園の ウッドチップ散布地など
【生態】 腐生菌
【発生時期】 春〜秋
【食毒】 不明
【備考】 上記の和色が実際にどんな色なのかを知るには, 「和色大辞典」などのウェブサイトが 参考になる。それぞれの色が,対応した和名をもつキノコのイメージにあっているかどうかは,場合によりけりといったところか。


ウスベニイタチタケ
埼玉県さいたま市 2006. 4. 30

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