ラッパタケ科ラッパタケ属

ウスタケ

Gomphus floccosus (Schw.) Sing.

ウスタケ
北海道釧路郡釧路町 2003. 8. 20


トランペットを地面に突き刺したような形をしたキノコ。モミ類をホストとする 菌根菌なので,ウラジロモミやシラビソ・オオシラビソの多い亜高山帯でお目にかかることが多いが,平地でも 社寺林だったりしてモミが伐採されずに残っていると出るらしい。

幼少の頃,家に置いてあった菌類図鑑を見て最も印象に残ったのがこのウスタケだった。普通のキノコとは かけ離れた奇抜なデザインが子供の目にも新鮮に映ったのだろう。掲載されていた写真がまた素晴らしく, 紅色の漏斗という表現がぴったりの端整きわまりない個体を写したものだった。 そんな姿を人目見たいと思って,庭に植えてあったクリスマスツリーの木の下を探し回った記憶も ある。もっともその木はモミではなくトウヒだったのだが。

それから10年近く経って,趣味や研究で山に入るようになると,その願いはあっけなく果たされた。 最初に見かけたのは,確か秩父のウラジロモミの林の中。老成してべろべろになった, 漏斗よりもむしろ火焔土器に似ている個体だった。おまけに,内側の窪みには落葉と雨水がたっぷり溜まっていて 見苦しかった。その後もあちこちで見かけたが,あの写真のような美しい子実体は未だ私の前には姿を現していない。

【発生環境】 針葉樹(モミ類)林内
【発生時期】 夏〜秋
【食毒】 有毒だが煮こぼせば可食とする文献も
【備考】 写真の個体はトドマツ人工林の林縁に 生えていた。


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