スティルベラ科イサリア属

ツクツクホウシタケ

Isaria sinclairii (Berk.) Lloyd

ツクツクホウシタケ
千葉県松戸市 2006. 8. 26


生きた昆虫に寄生してこれを殺し,その遺体からキノコを生やす菌類(いわゆる冬虫夏草)の中では, 最もポピュラーな種類のひとつ。 ツクツクホウシなどの都市部でも普通に見られる類のセミを宿主とすること, 明るい色の分生子のせいで子実体がよく目立つこと, 純粋に出現頻度が高いことなどの理由から,目にする機会はとても多い。 花もキノコも少ない真夏の自然観察会では,貴重な話の種となる。

行きつけの公園の一角には本種が大量に発生する場所があり,仲間内では"ツクツクホウシの集団墓地"と 呼んでいる。長さ20m程度の何の変哲もない散策路なのだが,多い年では200本近くの子実体が顔を出す。 土中の幼虫から発生したもの(写真)だけでなく, 地表を歩いている途中で事切れた挙句,全身が分生子で覆われて 真っ白になったものなども見かける。 珍しさや生態の特異性から人気の高い冬虫夏草だが, 寄生される昆虫側にとっては性質の悪い流行病でしかないことを 実感させられる光景である。

【発生環境】 各種林内や公園の浅い地中(稀に地表)で死亡したセミの幼虫から発生
【発生時期】 夏
【食毒】 不明
【備考】 白い粉状の分生子塊の代わりに粒々の子嚢果をつけた個体には ツクツクホウシセミタケという名前が与えられているが,今まで数例しか見つかっていない。


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