イグチ科ヌメリイグチ属

キヌメリイグチ類似菌

Suillus aff. americanus (Peck) Snell

キヌメリイグチまたは近縁種
茨城県つくば市 2007. 10. 15

生態1 生態2 若い菌

つくばの某研究所の樹木園には,妙なキノコがよく発生する。 黄色い傘がとっても特徴的なこのイグチもそういった例のひとつ。幼菌は大学芋,成菌は 卵焼きのあんかけみたいな質感で大変美味しそうなのだが,この場所以外で見た記憶がない。

鮮時に傘に強い粘性があること,管孔が放射状に配列することなどから, 少なくとも,ヌメリイグチ属の菌なのは間違いなさそうだ。 そこで,新菌類図鑑のSuillus の検索表にあたってみると, キヌメリイグチ(S. americanus)に行き着く。 この種は五針葉のマツ類と菌根をつくる北方系の種であり,日本には北海道などにしか分布しない。 本来,関東の平野部では遭遇する機会のないキノコなのだが, 発生地の近くにゴヨウマツなどの見本林があるため, 彼らを植栽するにあたって外部から持ち込まれたと考えれば合点がゆく。

もっとも,腑に落ちない点がないわけではない。例えば,典型的なキヌメリイグチでは傘の表面に褐色を帯びた鱗片が並ぶそうなのだが, 件の樹木園のイグチではそういった特徴が不明瞭なのだ。変異の範囲内としても問題はなさそうではあるものの, 顕微鏡的な性質の照合もまだなので,ここでは類似種と書いておく。

【発生環境】 ゴヨウマツ,キタゴヨウマツ,トガサワラ,シナノキなどの植栽地内
【発生時期】 晩秋
【肉眼的特徴】 傘は直径3〜8cm,はじめやや円錐形〜半球形,のち平たいまんじゅう型に開く。表面は濃黄色で湿時強い粘性があり, のち褪色して淡黄色,しばしば帯褐色の染みや繊維状の紋様をあらわす。下面は幼時帯白色の被膜に覆われる。被膜は傘が展開するにつれて 傘の縁に綿くず状に残存するが,やがて脱落して目立たなくなる。管孔,孔口ともに黄色,やや大型で放射状に配列し, 傷つけると褐変する。柄は淡黄色で上下同幅,明瞭なつばを欠き,はじめ淡黄色,のち淡褐色〜茶褐色に変色する粒点に 覆われる。下部は白い菌糸で覆われ,幼時しばしば水滴を分泌する。