横から
北海道釧路町 2005. 6. 13

上から
北海道根室市 2005. 6. 13

6月というと関東ではもう初夏といった感じだが,道東では まだ春真っ盛りの頃である。釧路郊外のこの森でも, スプリングエフェメラルたちの花やアミガサタケ等が まだ普通に見られた。そんな折,道端のトドマツ林 の中で出会ったキノコがこれ。調べてみたところ,外観的な特徴は Gerronema ericetorum (Fr.) Singer という菌にとてもよく似ていた。

G. ericetorum は欧州,北米,アジアなどに広く分布する種であり,保育社の新菌類図鑑にも チャサカズキタケという和名で掲載されている。 担子菌類には珍しく,Coccomyxa という緑藻と共生関係を 結ぶ性質があり,普段は彼らとともに緑色の微小な粒の集合体のような地衣体を作って暮らしている。 釧路で見た不明菌の中にも, それらと思しき緑色の皮膜から生えているものが見受けられた。

キノコ本体も地衣体らしきものも検鏡した訳ではないので確実ではないが,当たらずとも遠からずといったところだろう。来年 出会う機会があったなら,是非標本を採っておきたい。

【発生環境】 コケ類の多いトドマツ切り株上
【発生時期】 初夏
【肉眼的な特徴】 傘は直径15mm以下,幼時饅頭型,のちほぼ平らに開く。傘表面は光沢なく平滑,顕著な条線があり, 淡褐色〜淡黄土色〜淡オリーブ色,中央は常に漏斗状に窪み, 縁は鋸歯状で笠の裏に向かって巻き込む。ヒダは白色,疎〜きわめて疎,柄に強く垂生し 断面は三角形に近い。柄は径2mm以下,長さ20〜25mm,ほぼ平滑。色調は傘と同系統であるがより濃色。 なお,写真で傘や柄の表面に付着している 淡色の粒子はトドマツの花粉である。