サクラソウ科サクラソウ属

サクラソウ

Primula sieboldii E. Morren

サクラソウ
北海道沙流郡 2005. 5. 21

サクラソウ属の植物は,その華麗な花と可憐な草姿で,昔から世界中の人々を魅了してきた。 例えば,英国では,エリザベス朝の時代から 今日で言うポリアンサの仲間が 庭園に使われていたし,産業革命以降は多肉質の葉をもつオーリキュラの 仲間も大いに人気を博した。 日本でも江戸時代から盛んに栽培が行われていたが, 種間交雑が流行した欧州と違い, 園芸的な関心の多くはあるひとつの種に向けられた。それがサクラソウである。

ふわっとした質感の葉が特徴的なこの植物, 花は同属の中ではどちらかというと控えめな方だが, 色の濃さや花冠裂片の形などの変異がきわめて大きい。それに目を着けた 先人達の努力の結果,花冠が細かく切れ込む,表と裏で色が異なるなどの, 野外ではまず見られない特徴をもつ系統が多数選抜された。日本サクラソウと称される これらの品種群は,山野草園芸の世界では最もファンの多い分野のひとつとなっている。

しかしながら,その隆盛とは裏腹に,野生のサクラソウの運命は過酷だった。生育環境の多くが 人間の生活場所と重なっていたことが災いし,開発で 消失する自生地が続出したのである。 生態系の保全活動のフラッグシップとしての役割を果たす 場面も出てきたものの,往時の生き様を取り戻すまでの道のりはまだまだ険しいと言わざるをえない。

【生育地】 平地〜山地の落葉樹林の林床,湿った草原,河川敷など
【生活史】 多年草
【分布】 北海道(北見,空知,胆振,日高),本州,四国,九州
【花期】 4〜5月


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