サクラソウ科サクラソウ属

エゾオオサクラソウ

Primula jesoana Miquel var. pubescens

エゾオオサクラソウ Primula jesoana var. pubescens
北海道根室市 2006. 6. 10

花いろいろ 上から

サクラソウ属の植物は日本では14種類が知られているが,もともと分布域や生育環境に 偏りのあるものが多い。そこに生育地の破壊や園芸採集などが重なった結果,ほとんどの 種が絶滅の危険性に晒されている。しかしながら,例外もあるにはある。

その最たる例が オオサクラソウだ。濃い紅紫色の花と掌状の大きな葉が特徴で,本州中部から 北海道までの広範囲に分布する。本州では亜高山帯より上の草原に限られるものの, 北海道では海岸近くから普通に生えている。

北海道西南部よりも東側では,花茎に開出毛が目立つ変種・エゾオオサクラソウが 分布している。道東地方でのその生育密度は特に高く,河畔や道端や広葉樹林,果ては 湿った岩壁やトドマツ人工林など,いろいろな場所に進出している。春になると, ひとつの谷間が本種の花でほんのりと紅紫色に染まることもある程だ。 調査で花を観察していたら,地元の人に「そんな雑草みたいなのを見ているよりも, 山菜採った方がいいぞ...」みたいなことを言われたという笑い話すらある。

この地がいつまでもオオサクラソウにとってのサンクチュアリであり続けますように。 カッコソウの惨状を目の当たりにしている自分としては,心からそう思う。

【生育地】 平地・山地の明るい林内,林縁
【生活史】 多年草
【分布】 北海道中部・東部
【花期】 5〜6月