ユキノシタ科スグリ属

エゾスグリ

Ribes latifolium Jancz.

エゾスグリ
北海道釧路郡釧路町 2005. 6. 12

5月下旬から6月頭にかけて,釧路郊外ではエゾオオサクラソウの 花が身頃になる。 やや野暮ったい印象は否めないものの,ボリュームのある花序が放つ存在感は なかなかのもの。だから,花粉の運び手であるマルハナバチたちにとっての受けも さぞ良いのだろうと思っていた。 ところが,私が通っているある自生地では,実際に訪花を観察する機会は少なかった。 この時期の女王蜂たちにとっての一番人気は,エゾスグリの花だったのである。

花弁のように見えるのは実は萼筒で,くすんだ紅色をしている。 黄緑色系の花を咲かせるスグリの仲間にしては,確かに目立つ方だ。 とはいえ,ひとつひとつの花はとても小さく,植物に興味のない人の目に止まることは あまりないだろう。しかしながら, エゾオオマル,エゾナガマル,アカマルなどの マルハナバチの他,何種類ものハナバチ類がひっきりなしに訪花しており,樹冠のまわりには彼らの 羽音が常に響いていた。

エゾヒョウタンボクやネムロブシダマ,オドリコソウなど,送粉者を巡るライバルは 他にも多い。 派手な花冠を作るコストを考えると,エゾオオサクラソウが少々哀れに思えてくる。

【生育地】 平地〜山地のやや湿った明るい林内 沢沿いに多い
【生活史】 落葉低木
【分布】 北海道,本州(岩手,山形,山梨)
【花期】 5〜6月

エゾスグリ
北海道釧路郡釧路町 2005. 6. 12