アブラナ科イヌナズナ属

エゾイヌナズナ

Draba borealis DC. var. leiocarpa Pohle

エゾイヌナズナ
北海道釧路郡釧路町 2005. 6. 8


生物学のモデル植物の定番であるシロイヌナズナに見た目も 名前も似ているが,系統的には全くの別物。シロイヌナズナは ハタザオの仲間に近いシロイヌナズナ属(アラビドプシス)だが, こちらはイヌナズナ属に含まれる。両者の分かりやすい 相違点は果実の形。シロイヌナズナの 果実は細長い線形だが,エゾイヌナズナのそれは和名の通り, ぺんぺん草の果実をねじったような形をしている。

イヌナズナ属は日本に10種強が知られているものの, 人里離れた深山や高山の岩場でしか見られないものが多い。 標高の低い場所にも生えているのは,畑地雑草のイヌナズナを除けばエゾイヌナズナくらいしかないようだ。 小柄ながら花つきが大変良いので,花の季節には株全体が白い毬のようになって よく目立つ。そのこともあって,属内では割合ポピュラーな部類に入るだろう。 特に礼文島の群落は有名である。

【生育地】 山地帯〜亜高山帯の岩の隙間や岩礫地,海岸岩場
【生活史】 多年草
【分布】 北海道,本州(中部地方以北)
【花期】 6〜7月
【備考】 同属のよく似た種とは,葉の両面や果実に毛があること,果実のねじれが強いことの2点で 識別できる。海岸に生えることも同定の助けになる。