ハナシノブ科ハナシノブ属

ミヤマハナシノブ

Polemonium caeruleum L. subsp. yezoense H.Hara var. nipponicum Koji Ito

ミヤマハナシノブ
北海道様似町 2006. 6. 5

花色の薄い株 花つきの良い株 花のクローズアップ 白花品

ハナシノブ科はシバザクラなどの知名度の高い園芸植物を擁するグループだが,日本 ではマイナーな存在だ。自生しているのはハナシノブ属のたった2種類。しかも,ともに 日常生活の中ではまず目にすることのない希少種だ。

このうち,ハナシノブは九州の阿蘇山系に固有の種類であり,園芸採取による個体数の減少が著しい。 おまけに,自生地周辺に植えられているセイヨウハナシノブとの間で交雑が進んでいる。 もう一方のPolemonium caeruleum は北半球の亜寒帯に広く知られるコスモポリタンで, わが国では本州の中部地方の高山と北海道に分布する。 風雅な草姿をもつ植物の哀しき宿命か,やはり盗掘に遭ったという話には事欠かない。地域によっては,登山者によるオーバーユースの影響も大きい。

P. caeruleum は変異がとても大きな種であり,日本には エゾノハナシノブ・カラフトハナシノブ・クシロハナシノブの3つの亜種が知られる。 日高地方の低地に分布するものは,かつてはエゾノハナシノブだと言われていた。 ただ,近年ではその変種にして高山型であるミヤマハナシノブだとする考え方が主流であるらしい。 ミヤマハナシノブはエゾノに比べて花冠裂片の尖り方が鋭く,萼片の切れ込みが浅く,全体に繊細な傾向が あるとされる。ただ,その違いはかなり微妙なもの。個人的には分ける必要がないように思う。

【生育地】 亜高山帯〜高山帯(北海道では低地から)の明るい草原や崖地など
【生活史】 多年草
【分布】 北海道,本州(中部地方)
【花期】 6〜8月
【備考】 この仲間は互いに似通っており,野外での識別は 難しい。同定にあたって押さえるべきポイントは,花序や萼片の毛の種類と量,萼片の切れ込み具合,花冠裂片の形, 花盤の形,生育環境など。中間型も多いため明瞭に識別できないことも多々ある。