アブラナ科ワサビ属

ユリワサビ

Eutrema tenue (Miq.) Makino

ユリワサビ
群馬県大間々町 2006. 4. 1

春山の谷筋を白い花で彩るアブラナ科の植物というと,コンロンソウやタネツケバナの仲間が 定番だが,彼らとは異なり,食卓でお馴染みのワサビに近い植物である。

実際,葉や茎などには,弱めながらも あのツーンとくる独特の辛味がある。ただし,ワサビのように根茎が太く長くなることはないので,薬味として使うのには向いていない。 葉をおひたしなどにして,季節感を味わうくらいがせいぜいである。 もっとも,その繊細な草姿ゆえに,被写体としての魅力はユリワサビの方が遥かに勝っている。

写真の個体が生えていた谷間はかつてワサビ田として使われていたらしく,清流の脇を好む ネコノメソウ類などの他,普通のワサビも ちらほらと生えていた。ただ,ワサビが主に流れに近い場所で見られたのに対し,ユリワサビはむしろその周りの 林内の下に多かった。渓流性の植物というよりは,落葉広葉樹林の環境に適応したスプリング・エフェメラル 的な生活史をもつといった方が近いのかもしれない。

【生育地】 山地の谷間や渓流沿い,湿った林内
【生活史】 多年草
【分布】
【花期】 3〜5月
【備考】 和名は,根茎の見た目がユリ根のそれに似ていることに由来する。ワサビとは,大きさもさることながら 花茎が倒れて地表を這う点で決定的に異なる。