ユキノシタ科ウメバチソウ属

ウメバチソウ

Parnassia palustris L. var. palustris

Parnassia palustris
岩手県一関市 2007. 10. 22

Parnassia palustris
岩手県一関市 2007. 10. 22

風雅な和名の由来は言うまでもなく,花の雰囲気が白梅に似ていること。

ただし,ウメが 花の季節の始まりを告げる春の使者であるのに対し,ウメバチソウには,どちらかというと年間の花ごよみを締めくくる冬の使者,という印象がある。 紅葉まであと少しといった時期に山間の湿原に行くと,冬枯れの 中で本種とリンドウの花ばかりが目立っているという光景に出会うことがある。

ウメバチソウの花には,葯をもつ 普通の雄しべとともに,手の平のように細かく枝分かれした「仮雄しべ」が並んでいる。その先端には 蜜の水滴そっくりな黄色い粒々がついており,昆虫を誘き寄せて花粉を運んでもらう。仮雄しべを人為的に除去すると, 彼らが花を訪れる頻度が低下し,場合によっては種子の実りが悪くなるという[1]

一方,普通の雄しべも興味深い話題を提供してくれる。 開花してから6日目までは,彼らの挙動を見ただけで,それまで何日間咲いていたのか正確に把握できるのだ[2]。 開花の2日目から,5つある葯が,雌しべの上で弾けて花粉を出し,翌日反り返って花弁の間に退く ということをひとつずつ順繰りに行うためである。7日目以降は雌しべの先端 から柱頭が出てきて,昆虫が運んできた花粉を受け入れる。

【生育地】 低地〜山地の湿原;明るく貧栄養な環境を好む
【生活史】 多年草 
【分布】 北海道,本州,四国,九州; 樺太,千島,東アジア 
【花期】 8〜10月