ツツジ科ツガザクラ属

ツガザクラ

Phyllodoce nipponica Makino

ツガザクラ
富山県黒部市 2006. 8. 19

コケモモなどと並ぶ,ツツジ科の高山植物の代表格。花は白を基調としているものの, 花冠裂片の先端部にしばしば赤いぼかしが入るため,遠目には桜色に見えることが多い。 分布域は同属のアオノツガザクラの 方が広いのだが,日本固有であり,また花の雰囲気が日本人好みだったせいか,和名上は本種の方が基準となってしまった。

なお,鳥海山以北の東北地方と北海道で見られる個体は南のものに比べて葉や花柄などが長いという特徴をもつため, ナガバツガザクラという別亜種に分類されている。 ただし,葉緑体DNAの塩基多型を調べた研究では 両者の間にははっきりした遺伝的な違いは認められず,むしろツガザクラの西日本集団と中部山岳地帯の集団との間で 大きく分化していた (Ikeda and Setoguchi 2006) 。本種が進化の中でたどってきた歴史は,上記のような分類法で 説明できるほど単純ではないようだ。

【生育地】 高山帯の草地や岩礫地,雪田の周辺など
【生活史】 常緑小低木
【分布】 狭義のツガザクラ:本州 (東北南部〜中部地方,大峰,大山),四国; ナガバツガザクラ:北海道,本州(鳥海山・栗駒山以北)
【花期】 7〜8月
【参考文献】 Ikeda H, Setoguchi H (2006) Phylogeography and refugia of the Japanese endemic alpine plant, Phyllodoce nipponica Makino (Ericaceae). Journal of Biogeography 34 (1): 169-176.