リンドウ科リンドウ属

トウヤクリンドウ

Gentiana algida Pall.

トウヤクリンドウ
長野県白馬村 2007. 8. 26

リンドウの仲間には,秋の訪れを告げる使者というイメージが よく似合う。フデリンドウなどの 例外もあるものの,里山ではリンドウが,北地の湿原ではエゾリンドウが, そして高山のお花畑ではトウヤクリンドウなどが, 春から長く続いた花のシーズンの締めくくりを演出する。もっとも, 高山では季節の巡りが早いため,8月も半ばを過ぎると本種の花ばかりが 目立つようになる。とりわけ,八ヶ岳などの雪渓のない山ではその傾向が 強い。

トウヤクリンドウの花は,淡いクリーム色の地に暗色の砂子模様が入るという渋い色調だ。 逆光にかざすと向こう側が透けて見え, まるでボンボリのようである。花冠の口がほとんど開かないので,晴れた日であれば,花の中はかなり暖かくなりそうだ。 晩夏とはいえ,高山では朝晩の冷え込みは相当なもの。トウヤクリンドウの花が温室のようなはたらきをするのであれば, 花を訪れた昆虫の活動を活発にし,確実に花粉を運んでもらうことにつながるかもしれない。

【生育地】 高山帯の風当たりの強い砂礫地や岩場
【生活史】 多年草
【分布】 北海道,本州(中部地方)
【花期】 8〜9月

トウヤクリンドウ
長野県白馬村 2006. 8. 20