ハナヤスリ科ハナヤスリ属

トネハナヤスリ

Ophioglossum namegatae M.Nishida & Kurita

Ophioglossum namegatae
埼玉県 渡良瀬遊水池 2003. 4. 27

渡良瀬遊水池は,群馬・栃木・千葉・埼玉の4県にまたがる広大な湿地である。 昭和以降に作られた調整池の周囲には,日本でも最大規模の ヨシ原が広がっている。本来の低湿地の環境がほとんどが失われた関東平野 では,「残された楽園」「最後の聖地」といっても過言ではないだろう。

記録されている植物は667種にも達し,そのうちの43種が国のRDBの指定種。 この奇妙な姿をしたシダ植物も,そのひとつだ。ここの他,利根川や淀川 などの限られた水系でしか見つかっていない。

へらのように見える葉は光合成専門の「栄養葉」で,先に粒々のついた 細い葉は,胞子を作って飛ばす「胞子葉」。ハナヤスリの名前は, この胞子葉が棒やすりに似ていることに由来するらしい。 春になると,野焼きで真っ黒になった地面から一斉に葉を出してくる。 その密度は物凄く,あっという間に足の踏み場もない状態になるが, ヨシが芽吹いて地表が暗くなる6月頃には,早々と地上部を枯らして 休眠してしまう。

【生育地】 河川敷のヨシ原
【生活史】 多年草
【分布】 本州(栃木,千葉,茨城,大阪); 日本固有

緑の絨毯