キンポウゲ科オキナグサ属

オキナグサ

Pulsatilla cernua (Thunb.) Bercht. et C.Presl

オキナグサ
栃木県 2006. 4. 10

展葉が進んだ花茎 1枚目と同じ株を別のアングルから

園芸的な価値の高いものの多いキンポウゲ科の野草の中でも,とびきりの器量良しである。 柔らかな絹毛に覆われた新芽,海老茶でも濃紫でもないシックな色調の花, 和名の由来にもなった銀色の羽毛をもつ果実。植物体の全てが,優雅な美しさに溢れている。

だが,これはオキナグサにとって不幸なことでしかなかった。 山草業者や好事家による盗掘の格好のターゲットとなってしまったからだ。 この植物が,かつてのように身近でありふれた存在だったなら,園芸採集で多少数が減ったところで 問題にならなかったのかもしれない。だが,開発や管理放棄によって生育に適した環境が激減した今, それはとてつもない脅威となって,彼らを絶滅の危機に追い込んでいる。

数十年前は一面の大群落も珍しくなかったというこの自生地の現状も,見るに堪えないものだった。 度重なる掘り取りによって生じた無数のクレーターの中, 辛うじて難を逃れた株がぽつりぽつりと花を咲かす。 それは,人間のエゴが作り出した,ただただ醜く哀しい光景。 似たような場面には他の絶滅危惧植物で何度も遭遇してきたが,ここまで酷かったのは初めてだった。 目の当たりにしたとき,正直言って吐き気がした。

【生育地】 山地や河原などの明るい草原
【生活史】 多年草
【分布】 本州,四国,九州 −ロシア極東部,日本,朝鮮,中国
【花期】 4〜5月

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