キンポウゲ科イチリンソウ属

ニリンソウ

Anemone flaccida F.Schmidt

Anemone flaccida
東京都八王子市 2009. 4. 9


日本の里山で見られるアネモネの仲間の中では,おそらく最もポピュラーな種だといえるだろう。 個体数の多さ,生育密度,分布域の広さともに,他の同属種の追随を許さない。 特に多雪地では勢いが強く,林床が本種の花でどこまでも白く染まる光景が見られる。 若葉が食用になるため,山菜としての知名度も高い。

和名は花が2輪ずつ咲くという意味だが,実際には1輪のこともあれば3輪以上つくこともある。常に1輪ずつ咲く イチリンソウなどとの対比という意味合いの方が強いのだろう。花の形態には変異が多く, 萼片が緑色のミドリニリンソウ,淡紅色を帯びるウスベニニリンソウ, 萼片15枚程度の半八重になるギンサカズキイチゲなどといった品種が記録されている。 それなりの規模の群落であれば,この手の変わり種の花を咲かせる個体がひとつふたつは見つかることが多い。 早春の日差しの下,彼らを探して歩くのもまた一興である。

なお,西日本には匍匐枝を伸ばして繁殖する 性質が強いために株立ちにならないタイプが多いらしく,オトメイチゲという変種として 区分する考えもある。もっとも,この手のクローン成長特性に関する変異によくあるように,通常の個体との 区別は曖昧であるようだ。

【生育地】 丘陵地〜低山の湿った落葉樹林内
【生活史】 多年草
【分布】 北海道,本州,四国,九州
【花期】 4〜5月
【備考】 ブナ林やミズナラ林が出るような標高のやや高い地域では,本種よりもむしろ近縁のサンリンソウの方が多い。ニリンソウ同様, 花茎あたりの花数は一定しない。