スミレ科スミレ属

ニオイタチツボスミレ

Viola obtusa Makino

ニオイタチツボスミレ;赤みが強い花
茨城県牛久市 2008. 4. 12


我が世の春を謳歌するという表現があるように,春の到来は一般的には喜ばしいことだ。

ところが,この季節,花粉症持ちの人は憂鬱な気分に苛まれる。山ではスギやヒノキが花期のピークを 迎え,道端では気の早いイネ科植物が穂を出しはじめるからだ。 春植物の花には素晴らしい芳香をもつものが多いが,詰まった鼻ではその感動を味わうことはかなわない。 これは人生において大きな損だと思う。

タチツボスミレの眷属のひとつであるニオイタチツボスミレは,その名の通り花の香りが強いという特徴をもつ。 しかし,カモガヤ花粉症を発症している私はそれを実感したことがない。本種に限らず, スミレの花の香りの強さには個体や時間,花の新旧などによる変化が大きく,ほとんど匂わない時もあるそうだが, 私以外の同行の人たち全員が匂いを感じたことも一度や二度ではないので,やはり鼻に問題があるのだろう。

【生育地】 平地〜丘陵地の明るい落葉樹林林内や林縁,草地など
【生活史】 多年草
【分布】 北海道(南部),本州,四国,九州(屋久島以北)
【花期】 4〜5月
【備考】 タチツボスミレに混じって生えることも多いが,より乾燥した明るい環境を好む。 花はタチツボスミレよりも色鮮やかであり,赤みが強い傾向にある。また,花柄には細かな毛が密生していることが多い。 ただし,これらの特徴は必ずしもすべての個体について当てはまるわけではないので注意が必要。 中間的な見た目の交雑個体も珍しくはない。


ニオイタチツボスミレ;標準的な特徴をもつ花
茨城県牛久市 2008. 4. 12