ユリ科バイモ属

ミヤマクロユリ

Fritillaria camtschatcensis (L.) Ker Gawl. var. keisukei Makino

標準的なものよりも花の色が薄い個体
長野県上伊那郡宮田村 2005. 7. 17

花のアップと花粉を運ぶハエ 群生

花は文章ではちょっと表現しがたい,独特の渋い色彩。黒紫色,というのだろうか。 しばしば大群落を作ることから,場所によっては高山植物のスター的な存在になっている。 しかし,花を愛でるつもりで鼻を近づけてみると,大抵の人は辟易するに違いない。 何ともいえない悪臭がするからだ。 喩えるならば,それは「キノコが腐った臭い」。 ミヤマクロユリは,この臭いを使ってハエをおびき寄せ,花粉を運ばせているのである。

なお,無事に送粉が成功すればめでたく果実が実るわけだが,種子から発芽した苗の運命は 過酷だ。デモグラフィーを追跡している人の話によると,ほとんどの実生が定着できずに死んでしまう上, 残ったものも成長が非常に遅いという。開花までは気が遠くなるような時間がかかるのは間違いない。 盗掘は,こうした植物側の連綿たる営みを一瞬で踏みにじる行為であり,決して許されるものではない。

【生育地】 亜高山・高山の草地
【生活史】 多年草
【分布】 北海道,本州中部以北
【花期】 6〜8月

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