カヤツリグサ科スゲ属

クロヒナスゲ

Carex gifuensis Franch.

今まさに開花しようというところ
群馬県大間々町 2006. 4. 1

カヤツリグサ科のスゲ属は,日本だけでも250種余りが知られる大所帯だ。しかし,野山を普通に歩いてみただけでは,そういった印象はあまり感じられないことが多い。この背景のひとつには,分布の限られた地域固有種がかなり多いということがある。クロヒナスゲはまさにその典型であり,北関東と中部地方の一部,四国などでしか知られていない[1]。全国的に見れば割合珍しい部類に入るのだが,ある場所にはあるもの。上州のこの山では,登山道沿いにどこまでも続く大群落が見られた。

写真は,展葉とほぼ同時に出した花穂がようやく綻びだしたところ。茎のてっぺんに雄小穂,そのすぐ脇に雌小穂が着いているのだが,咲き始めて間もないためか,ひとかたまりに見える。和名の通り,小穂の鱗片はほとんど黒に近い褐色であり,引き締まった感じがしてなかなか格好良い。もっとも,そう見えるのも今のうちだけ。花が終わって雄小穂が萎びてしまい,雌小穂の中で緑色の果苞が膨らんでくると,イメージは全く違ったものになる。

【生育地】 山地の明るく乾いた林内[1]
【生活史】 多年草
【分布】 本州(岩手,栃木,群馬,岐阜,三重),四国(愛媛) −日本固有[1]
【花期】 3〜4月
【その他,同定のポイント】[1] 根茎を長く伸ばして這い回りはしないが,多少は伸びるので,株はゆるいかたまりになる / 柱頭は3本 / 果苞は長さ4mmほどの楕円形。短い毛が多く,太い脈が目立つ / 花序の根元の苞は小さな鱗片状であり,鞘にはならない


1.蕾 2. 雌しべが成熟 3. 雄しべが伸びだす 4. 果胞が膨らむ
群馬県桐生市 2006. 4. 1 / 4. 25 / 5. 8