スミレ科スミレ属

コスミレ

Viola japonica Langsd. ex Ging.

コスミレ
愛媛県東温市 2007. 3. 19

日本のスミレの中では,最もとっつきにくい部類に入ると思われる種類。 花つきが良く,整った草姿をした器量の良いスミレなのだが,とにかく同定が難しい。 その理由としては,以下の3点が挙げられよう。

1つめは,「名は体を表す」の逆を地で行っていること。植物体のサイズはスミレのそれを上回り, 花の後に出る夏葉は特に大きくなる。覚えたての頃はまずここで混乱させられる。

2つめは,決め手となる識別のポイントに乏しいこと。 同定にあたっては,地上茎がない点,白粉を吹いたような鈍い緑色をした幅広の葉をもつ点, 距が太めでぼってりしている点など,さまざまな特徴から多角的に判断する必要がある。

そして3つめ,これは2つめとも関連するが,形態の変化が非常に大きいことである。 こうした傾向は,特に西日本において著しい。四国の里山で出会った個体は,同じ種とは思えないほどバラエティに富んでいた。 花は,濃い紅紫色で花弁の細いものから,ほとんど白花に近い丸弁のものまで。葉の幅や植物体の毛の量も, 株によって様々だった。このような高い多様性は,何によってもたらされているのだろうか。

【生育地】 人家や耕作地の周辺,路傍,低山の明るい林内など
【生活史】 多年草
【分布】 北海道,本州,四国,九州
【花期】 3〜5月
【備考】 写真の個体は植物体に毛がないタイプ。花は赤みの少ない淡紫色であり,側弁基部にも毛がない。 こうした特徴は,関東でみられるコスミレの多くに共通するものである。