ユリ科シュロソウ属

コバイケイソウ

Veratrum stamineum Maxim.

コバイケイソウ
福島県檜枝岐村 2004. 6. 28

試験管ブラシを束ねたような形をした大きな花序は, 初夏の高山草原の風物詩。 麓から続く見通しの効かない暗い森を抜けてこのブラシの出迎えを受けると, 日常生活から離れた場所に来ている ことを実感する。もっとも,写真の株はまだほとんど蕾の状態なので, 見た目はブラシよりもむしろトウモロコシ。個人的には この頃の方が好きだったりする。理由は,何となくおいしそうだから。

さて,このコバイケイソウ,大して珍しい植物ではないが,見渡す限りのお花畑を目にするには,ある程度の 運が必要だ。年によって花の咲き具合に 極端な差があるからだ。基本的にはよく咲く年とあまり咲かない年が 交互にやってくる。花着きの良い年,特に数年に一度の物凄く よく咲く年にうまく当たれば,心置きなく花を堪能できる。だが, 外すとまともな花に会うことすら困難になるのだ。

似たような現象はブナなどの多くの樹木でも古くから知られており, 数え切れないほどの研究例がある。凶作年に捕食者を餓死させ, 豊作年に食べきれない程の種子を 作ることで種子の生存率を高めるためだとか,一度に開花する ことで授粉の効率を高めるためだとか,その意義には 様々な説がある。コバイケイソウの場合は,どうなのだろうか。 案外,高山の厳しい環境で毎年あんな大きな花序を作っていたら 身が持たない,というのが答えだったりして。

【生育地】 亜高山帯〜高山帯の草原
【生活史】 多年草
【分布】 北海道,本州(中部地方以北)
【花期】 6〜8月
【備考】 有毒植物。新芽はウルイに似ているので誤食しないように。


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