ラン科キンラン属

キンラン

Cephalanthera falcata (Thunb.) Blume

キンラン(クローズアップ)
茨城県 2008. 5. 5

キンラン(標準的な花序)
茨城県 2008. 5. 5

キンラン(寸詰まり花序)
茨城県 2008. 5. 5


朱色のアクセントをもった唇弁が印象的な山吹色の花を咲かせる,里山のラン。 エビネが激減した昨今,雑木林で普通に見られるランの中では最も花好きの心をくすぐるであろう種類だが, それは同時に盗掘に遭いやすいということも意味する。

もっとも,本種がコアな山草愛好家たちのターゲットにされることは比較的少ないと思われる。 移植して栽培するのがきわめて難しいからだ。 よくあるのは,そういった趣味をもたない人に気軽に採られる,というケースであろう。 明るくやや乾き気味な環境を好むため,歩道沿いなどの開けた場所に出てきやすいことも災いしている。 とある国営公園に勤めていた知人は,数十分おきにパトロールしても掘り取られると嘆いていた。

最近の研究により[1],キンランは ベニタケ科やイボタケ科の外生菌根菌と共生している可能性が高いことが明らかにされた。 前者は,雑木林ではきわめてありふれたキノコである。後者も,子実体の印象こそ薄いものの, 菌根菌としてはポピュラーな種類であるらしい。実験で菌根フリーのマツの苗を作ろうとしたら, いつの間にかこの仲間がコンタミしていた,という話を聞いたことがある。

これらの菌類は,必要とする栄養の多くを樹木の根から得ている。 キンランを掘り取って鉢植えにすると早晩枯れてしまうのは,彼らへの 依存性が強いためであるらしい。

【生育地】 平地〜山地の明るい林内,林縁
【生活史】 多年草 
【分布】 本州,四国,九州; 朝鮮,中国
【花期】 4〜5月