サクラソウ科サクラソウ属

カッコソウ

Primula kisoana Miquel var. kisoana

カッコソウ Primula kisoana var. kisoana
群馬県 2002. 4. 17

20060425 20060510 20060510

群馬県の桐生の街の北側に,鳴神山という山がある。 標高は1000mに達するか達しないかといった程度で,特に変わった地質を持っている訳でもない。 山頂付近や尾根筋などに僅かに天然林が残っているものの,ほとんどは単調なスギの人工林だ。しかし,どういう訳か, 何の変哲のないこの山だけでしか見られない植物がある。それが,ここでとりあげたカッコソウだ。

「勝紅草」の名前の通り,ボリュームのある深い紅紫色の花を咲かせる。 美しさを通り越して艶やかささえ感じさせるその雰囲気から, 山草愛好家の間でも人気が高い。それ故,カッコソウがこれまで辿ってきた歴史は暗いものだった。 盗掘,とにかくそれの繰り返し。バスツアーで採集者が押しかけたとか, ひとつの谷沿いのカッコソウを1日で丸ごと壊滅させたとか,とんでもない逸話が残っている。

もともと分布域が極端に狭かった上,植林によって本来の生育地と目される広葉樹林が 激減していたことも悪かった[1]。 現在では,辛うじて800株程度が孤立したパッチに分かれて残っているだけだ。しかも,そのほとんどは地下茎を伸ばして 増えたクローンらしい。遺伝的にみた個体数はせいぜい20,30に過ぎない可能性が高い[2]

花の美しさは日本のサクラソウの仲間の中でもトップクラスだが,絶滅の危険性でも間違いなくトップクラスだ。 現在でも盗掘は続いている。

【生育地】 日当たりの良い広葉樹林や針葉樹林内
【生活史型・生活型】 多年草
【分布】 本州(群馬県; ただし別変種シコクカッコソウが四国地方に分布) −日本固有
【花期】 5〜6月
【備考】 シコクカッコソウの植栽に由来するという意見もあるが[3],両変種が遺伝的に大きく異なることから,その可能性は低いと考えられる[4]