ラン科カキラン属

カキラン

Epipactis thunbergii A.Gray

カキラン
岩手県 2007. 7. 26

距離によってこれほど印象が異なるランも珍しいと思う。

和名の通り,花は遠目にはややくすんだ柿色にみえ,ややもすると地味な印象。 しかし,近づいて正面から観察してみれば, それが誤解だったことに気づくはずだ。唇弁には多彩な色を精緻に組み合わせた素晴らしい装飾が 施されており,サイズこそ思いっきり控えめではあるが,シンビジュームやカトレアなどの園芸品種を彷彿とさせる。 模様は個体ごとに微妙に異なるので,いろいろと見比べてみる楽しみもあるだろう。

もっとも,カキランの個体数は減少傾向にあり,一度に多くの株を観察する機会にはめったに恵まれない。 国のレッドデータブックには載っていないものの,実に21もの都道府県版レッドデータブックで 危機的な種としてとりあげられている。他のラン科植物の多くがそうであるように, 良識のないマニアや業者による盗掘も脅威だが,本種の場合,生育に適した環境が 圃場整備や管理放棄などでどんどん失われていることが大きな問題である。

【生育地】 平地から山地の日当たりの良い湿地,草原
【生活史】 多年草
【分布】 北海道,本州,四国,九州
【花期】 6〜7月 

カキラン
岩手県 2007. 7. 26