キク科ウスユキソウ属

ホソバヒナウスユキソウ

Leontopodium fauriei (Beauverd) Hand.-Mazz. var. angustifolium H.Hara & Kitam.

ホソバヒナウスユキソウ
群馬県利根郡片品村 2007. 7. 1


その名の通り,幅の狭い葉がとても印象的なウスユキソウ。 分布域の狭い珍しい種類であり,至仏山と谷川岳でしかお目にかかれない。

このふたつの山域には,蛇紋岩の山であるという共通点がある。 蛇紋岩が風化してできた土壌は 崩壊しやすいうえ,マグネシウムやニッケルなどの重金属を多量に 含むため,普通の植物にとっては住み心地が悪い。したがって, それにわざわざ適応した固有種や,分布域の変遷の中で取り残された遺存的な種の天国となっていることが 多い。

ホソバヒナウスユキソウに最も近いと考えられる種類は,秋田駒ヶ岳や月山など, 本州の日本海側の高山で広く見られるミヤマウスユキソウである。 葉の幅をのぞけば草姿はよく似ており,両者は互いに変種として扱われることが多い。 ミヤマウスユキソウの祖先が氷河期の終了にともなって北方に後退する際, 南側の至仏山と谷川岳に一部の集団が取り残され, 蛇紋岩地の特殊な環境のもとで独自の進化をとげて, 現在のホソバヒナウスユキソウになったのかもしれない。

【生育地】 高山の蛇紋岩地の岩場,崩壊地,風衝地など
【生活史】 多年草
【分布】 本州(至仏山,谷川岳) −日本固有
【花期】 7〜8月


ホソバヒナウスユキソウ
群馬県利根郡片品村 2007. 7. 1