スミレ科スミレ属

ヒトツバエゾスミレ×フイリフモトスミレ

Viola eizanensis var. simplicifolia × V. sieboldii f. variegata

ヒトツバエゾスミレ×フイリフモトスミレ
群馬県 2009. 4. 18

ヒトツバエゾスミレ×フイリフモトスミレ
群馬県 2009. 4. 18


通いはじめてからもう10年近く経つ北関東の某山には,フイリフモトスミレが無数に生えている。 登山道脇にひしめく彼らの花の表情を眺めるのは,毎春のささやかな楽しみのひとつだ。ただ, その中におかしな個体が混ざっていることが前々から気になっていた。小粋なデザインはそのままに, 植物体全体,特に葉のサイズが妙に大きいのだ。

その生育状況と形態から,他の大型のスミレとの雑種なのは間違いなかった。初めは フイリヤシュウスミレ(片親はサクラスミレ)を疑ったが,ここではサクラスミレは滅多に見られない。 粗く大きく,かつ不揃いな鋸歯は,別の種との交雑を示唆している。それにしてもこの鋸歯,どこかで 見たことがあるような…とここまで考えて,ふと思い至った。この山にいくらでもある エイザンスミレの単葉品・ヒトツバエゾスミレのそれにそっくりではないか。

これまで,フイリフモトスミレがヒトツバエゾスミレと自然状態で交雑することを報告した文献はないようだ。 しかし,エイザンスミレとのハーフであるフイリスルガキクバスミレなどの存在を考えると,十分にありえる話である。

【生育地】 低山から山地にかけての林内
【生活史】 多年草
【花期】 4〜5月
【備考】 上記学名ではヒトツバエゾスミレが種子親のように書かれているが,交配の方向性は分からないのであくまで便宜的な表記である。写真の個体はどちらかというとヒトツバエゾスミレに似ているが,フイリフモトスミレに近い個体もあるので,現地では両方向の交配やもどし交配が成立しているのかもしれない。