サクラソウ科サクラソウ属

ヒナザクラ

Primula nipponica Yatabe

ヒナザクラ
岩手県 2007. 7. 28

異型花柱性 日陰に生えた株 葉

可憐な白い花を咲かせる高山性のサクラソウ。クリンソウ (Primula japonica )と同様に,「日本のサクラソウ」という意味の学名をもつ。

東北地方の山では珍しくない植物であり,雪田の周辺などにしばしば大群落を作っている。ただし, 分布域はきっちりと決まっており, 南東北の日本海側ではハクサンコザクラにとって代わられる。 たとえば,山形・新潟県境の朝日山地ではヒナザクラのみが,その南側に隣接する飯豊山地ではハクサンコザクラのみが見られる。 また,北東北の岩木山と早池峰山にもヒナザクラはなく,代わりにそれぞれミチノクコザクラ,ヒメコザクラが分布する。

ハクサンコザクラとミチノクコザクラ,および北海道に分布するエゾコザクラはすべてPrimula cuneifolia の種内分類群という関係にあり,広義の P. cuneifolia そのものは北太平洋沿岸を経てアラスカ,カナダまで分布している。ヒナザクラはこれらと 系統的にきわめて近いと考えられているが,その分布は世界中でみても日本の東北地方だけ。 広大なP. cuneifolia の分布域の片隅で,どのようにヒナザクラという種が 分化し,現在の地域に落ち着いたのか,大変興味深いところである。

【生育地】 亜高山の湿った草原,雪田周辺など
【生活史】 多年草
【分布】 本州(東北地方:青森県八甲田山から福島県吾妻山,山形県朝日山地にかけての山域)
【花期】 7〜8月