アブラナ科ハナハタザオ属

ハナハタザオ

Dontostemon dentatus (Bunge) Ledeb.

ハナハタザオ
茨城県 2010. 6. 12

ハナハタザオ
茨城県 2010. 6. 12

ハナハタザオ
茨城県 2010. 6. 12

日本の在来アブラナ科植物の中では,花全体がはっきりと紅紫色に色づく種類はとても少ない。ここでとりあげたハナハタザオの他には,ハナナズナとミヤウチソウくらいしかない。興味深いことに,三者の間には「種としての分布域は広いが,国内ではごく限られた地域でしか見られない」という共通点がある。

修士課程の頃,アルバイトの一環として,茨城県のある場所でハナハタザオの生育状況を調査したことがあった。当時は散策路沿いのあちこちで開花個体が見られ,秋には多数ロゼットが生じていることも確認できたので,しばらくは安泰だなと感じたことを覚えている。しかし,今年になって久しぶりに現地を訪れたところ,かつての群落は他の背丈の高い草木に覆われて見る影もなく,結局,1地点でしか生育を確認できなかった。

この7年間で個体数が激減したのは,まず間違いないだろう。越年生の生活史をもち,毎年種子から植物体を作り直す本種にとっては,被陰による更新失敗は大きな痛手。自生地周辺で草刈りや表土の撹乱を行うなどして,良好な光環境を維持していく必要があると思う。

【生育地】 日当たりのよい疎らな草地,岩がちの斜面,露頭など[1]
【生活史型・生活型】 越年草
【分布】 本州(茨城,山梨,広島[1]); シベリア東部,アムール,ウスリー,中国,朝鮮
【花期】 6〜8月
【備考】 国のレッドリストでは絶滅危惧IB類[2]