リンドウ科センブリ属

アケボノソウ

Swertia bimaculata (Siebold et Zucc.) Hook.f. et Thomson ex C.B.Clarke

アケボノソウ
長野県南牧村 2006. 9. 9

和名にアケボノを冠する植物の代表格。しかし,その花は朝焼けの空のようなピンクでもないし, 太陽が地平線に顔を出す前の薄明の空のような青紫でもない。白い地に黒と黄緑の斑点を散らすという, 「曙」のイメージからはかけ離れたものだ。この斑点を夜明けの空に輝く星に見立てたという説明が 一般的なようだが,個人的にはちょっと信じがたい。黒地に白い斑点なら,まだ納得がいくのだが。

花冠に散る2色の斑点のうち,黄緑色のものは蜜腺である。 裂片の先端から3分の1あたりの位置に並んでおり,裂片基部に蜜腺を 隠しもつセンブリミヤマ アケボノソウなどとは好対照をなしている。 本種の場合,体の大きな昆虫は花の中央にある雄しべ・雌しべをまたぐようにして 止まらざるをえないので,送粉はセンブリなどよりも効率的に行われそうだ。 しかし,小さい昆虫は裂片の先端にちょこんと止まるだけで蜜を舐めることができるため, 逆に効率は落ちそうな予感がする。実際のところ,どちらのレイアウトが有利なのだろう。

【生育地】 山地のやや湿った木陰や草原,渓流沿いなど
【生活史】 1〜2年草
【分布】 北海道,本州,四国,九州; 中国中部〜西部,ヒマラヤ
【花期】 9〜10月
【備考】 花茎を立てていない若い株は, オオバコと見間違えやすい。


アケボノソウ
長野県南牧村 2006. 9. 9