スミレ科スミレ属

アケボノスミレ

Viola rossii Hemsl.

Viola rossii
鳥取県 2007. 4. 23

日本語には,朝を表す言葉が多い。 夜半過ぎから夜明け近くのまだ暗い頃までを指す「暁(あかつき)」, 東の空がわずかに白んでくる頃を指す「東雲(しののめ)」, 空全体がほのぼのと明るくなる頃を指す「曙(あけぼの)」「朝朗(あさぼらけ)」, 陰暦十六夜以後,月が空に残ったまま夜が明けんとする様を指す「有明(ありあけ)」。 古の人々は,それだけ未明から明け方まで刻一刻と変わる空の表情に敏感 だったのだろう。

これらのうち「曙」は,「朱(あけ)が仄(ほの)かに出る」に通じるせいか, 視覚的なイメージが特に強い言葉である。そのためだろう,朝焼けの空を連想させるような 淡い紅色の花を咲かせる植物には,しばしば「曙」の名 がつけられる。本種もそのひとつだ。華やかさではサクラスミレに一歩譲るが, 日本のスミレの中で最も美しい花を咲かせるスミレとして本種の名を挙げる人も 多いに違いない。

【生育地】 山地のやや乾いた雑木林
【生活史】 多年草
【分布】 北海道南部,本州,四国,九州
【花期】 4〜5月


Viola rossii
群馬県桐生市 2004. 4. 19